腰部脊柱管狭窄症と胸郭
腰部脊柱管狭窄症とは
腰部脊柱管狭窄症とは、腰椎の中にある「脊柱管」と呼ばれる神経の通り道が何らかの原因によって狭められてしまう症状です。
まさに脊柱管が狭くなってしまうことからこの名前がつけられています。
症状は臀部、下肢、腰部の痛みや痺れ、感覚の低下などありますが最も特徴的なのは「間欠性跛行」と呼ばれるものです。
この症状は、一定時間歩くと脚に痛みや痺れなどが生じ、しばらく休むとまた動くことができるというものです。
今回はこのような症状の出る脊柱管狭窄症を胸郭の動きで変化をつけることができるか、というものです。
胸郭
腰部脊柱管狭窄症は名前の通り「腰部」に分類されることが多くあります。
一般的には腰付近へのアプローチが行われます。
胸郭は名前の通り「胸周り」です。
関係なさそうな部位ですが、重心や身体の連動性を考えると間接的な関係があります。
今回の研究ではこのような結果が出ています。
腰部脊柱管狭窄症への胸郭アプローチ
主訴である間欠性跛行は多裂筋や背部筋群の緊張による硬膜内・外圧の上昇によるうっ血が大きな問題となるが、
胸椎後弯による後方重心の結果、
腰椎前弯方向へのストレスを増加させてしまう環境ができており、
胸郭のコントロールが腰部に加わる伸展方向への関節モーメントを減らすために重要だと考えた。
胸郭を伸展しやすい環境を整えた後で体幹を左右へシフトさせることにより、胸郭だけではなく歩行時に重要な肩甲骨の可動性をバランス反応として獲得させることが出来た。
体幹回旋により軸回旋をさせ、歩行時の重心動揺を改善するように意識させた。
二次的にこれらの運動は多裂筋の反復収縮・相反性神経支配により、
柔軟性の獲得・多裂筋との筋連結がある腹横筋の機能改善も認められたため、
JOAスコアの改善・間欠性跛行が改善したと思われる。
第43回理学療法士学術大会 神谷秀明 他 より引用
研究論文の結果の一部を引用させて頂きました。
簡単に説明しますとこのような感じです。
腰部脊柱管狭窄症は腰が反ってしまう事で症状が増します。
それは胸郭が動いていない事で強制的に反ってしまうようなバランスとなっているからだと仮定しています。
胸郭を動かす事で重心の位置を安定させ、関わりのある筋肉などに負担がかからないように調整した結果、症状の改善が見られました。
パーソナルジムでの対応
腰とは程遠いと思われる胸郭でも対応は可能です。
ですが、まず本当にその方の状態に胸郭が関わっているか確認する必要があります。
これは自身では非常に判断が難しいところです。
そこでトレーナーやセラピストの出番です。
まずは原因を一緒に探し、効率的なアプローチを行なっていきましょう。