腰椎椎間板ヘルニアと牽引
腰痛椎間板ヘルニアへの治療アプローチ
整形外科における腰痛へのアプローチ方法に「牽引」があります。
これは昔から継続して行われている物理療法です。
機械的に腰を引っ張り、椎間板(背骨同士をつなぐクッション材のようなもの)にかかる負担を減らそうというアプローチ方法です。
そうすることにより、椎間板にかかる圧が抜け症状が軽くなるのではないかと言われています。
しかし、最近は整形外科の治療でも行わなくなっているところも多く出てきました。
それはなぜか?
理由はシンプルで「あまり変わらない」ことが多いからです。
そのため、新規の整形外科では機械を置いていないところも出てきました。
今回の研究は、あまり「効かない」とされている牽引をセラピストの手技によって行ったらどうなるか?というものです。
腰椎椎間板ヘルニアとは?
そもそも腰痛椎間板ヘルニアとは何か?を簡単に説明します。
背骨はひとつひとつ「椎体」と呼ばれる骨がいくつも積み上がって構成されています。
この椎体同士をつなぐものが「椎間板」です。
この椎間板の中心には「核」と呼ばれるものがあります。
何らかの要因によりこの核が椎間板の外に飛び出し、近くにある神経に何らかの影響を与えてしまうことが主な症状です。
徒手による牽引の効果
それでは研究結果の紹介です。
まずは本文の結果の一部を抜粋して載せます。
初回治療時に伸展反復運動を施行しところ症状の改善を認めたため、Home Exとして処方した。
しかし2回目来院時(1週間後)には初回評価時と症状の変化はなく、治療効果も30分程度しか持続しなかった。
そのため2回目の治療では除圧目的に徒手的に牽引を施行した。
施行中に症状の著明な軽減を認め、FFDも30cmと改善した。
Home Exとして自己牽引を指導、3回目来院時には改善を自覚し長時間座位時の疼痛は消失していた。
介入5か月目には全症状の消失、ODIも8%と改善した。
第53回理学療法士学術大会 外川慎吾 より引用
ある患者様に対し徒手的な牽引療法を促した結果を記載しています。
結果的には「効かない」とされている牽引療法でも効果があったとしています。
さらに結論として以下のようにも説明しています。
治療開始2か月のMRIで変化なし(軽度増悪)が確認されたが症状は改善していた。
診断名や単一評価によるレシピ治療ではなく、患者の反応や自分のリーズニングをモニタリングしながら適宜患者に合わせた治療を行う必要がある。
ただ牽引を行っただけでなく、その方のニーズや背景を考慮して行った結果、ということです。
牽引そのものの効果の良し悪しではなく、必要な方に本当に必要なアプローチができているかどうかが重要と考えられます。
パーソナルジムでの対応
パーソナルジムでは全てニーズに合わせて行うことがその最大の特徴として挙げられます。
機械まかせやフォーマット化されたプログラムではなくコミュニケーションをとることでより効率的にアプローチできます。
物理療法と呼ばれる電気のみ、温めるのみのリハビリで効果が得られなかった場合、ジムでのリハビリもお勧めです。